21世紀を迎えた今日、社会の変化や科学技術の進歩により、これまでの経験によるだけでは対処しきれない災害が、今後ますます起こり得ると考える必要があります。新しい災害や被災の様相の変化に対応するため、私たちは常に社会情勢の動向に着目し、ニーズを把握し、消防防災の専門家として社会の要請に応えることのできる知識と技術を蓄積していく責務を負っています。
また私たちは、それぞれの研究職員が常に学術的に高いポテンシャルを保持する一方で、その知識や技術を社会に生かし、防災や減災に貢献していくという異なる二つの要請のもとにあります。その両立は、決して容易なことではありません。しかし、消防防災という人命に関わる研究を自己満足に終わらせないために、欠かせない両輪であると考えています。
災害は、国内のみではありません。経済的にも恵まれ、高い消防防災技術を持つに至ったわが国は、救援救助や復興支援のみならず、これからは防災や減災についても国際的に貢献していくことが重要と考えています。消防研究所の消防防災に関する知識や技術は、災害の危険に晒されている世界の人々にも役立つものと確信しています。
消防研究所は平成13年4月より独立行政法人として再出発いたしました。これまで以上に自己責任が求められていることを真摯に受け止めるとともに、昭和23年の消防研究所創設当初の目的である、科学技術に基づく消防防災の実現という変わらぬ使命を肝に銘じ、全国の消防関係組織の知的共有財産として、また世界の防火防災研究の中心機関の一つとして、その役割を果たして参ります。
そして、あらゆる活動をとおして、安全で安心な市民生活に貢献していきたいと思います。