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2004年9月5日の紀伊半島沖・東海道沖を震源とする地震による
石油タンクのスロッシングと長周期地震動


独立行政法人消防研究所

畑山 健・座間信作・山田 實・西 晴樹・廣川幹浩

(2004年9月13日,2004年9月17日改訂)



 2004年9月5日に発生した紀伊半島沖を震源とする地震(M6.9;暫定)と東海道沖を震源とする地震(M7.4;暫定)の後の点検で、千葉県にある石油タンク数基にスロッシングが発生していたことがわかりました。確認されている最大液面上昇量のうち最大のものは約32cmで、これはスロッシングの1次固有周期(Ts)が9.7秒の石油タンクにおいて測定された値です。また、Tsが11秒の石油タンク1基で約28cm、Tsが6.5秒付近の石油タンク数基で10〜25cm程度の液面上昇が起こったと見られています。この石油タンクのスロッシングは、9月5日に発生した地震による長周期地震動により励起されたものと考えられます。そこで、マグニチュードが大きい東海道沖の地震について、東京湾岸、大阪湾岸、伊勢湾岸における長周期地震動の特徴を見てみました。



1.東京湾岸における長周期地震動


▲:K-NET観測点,■:KiK-net観測点

【東京湾岸における地動速度波形(0.1〜10Hz)】


●NS成分 ●EW成分


【東京湾岸における速度応答スペクトル(減衰1%)】

 K-NETの横須賀、横浜、川崎、浦安、姉崎観測点では記録時間が短く長周期の後続波が十分記録できていない恐れがあります。これらの地点については、K-NET姉崎を除いて、速度応答スペクトルは掲載しませんでした。

●K-NET東雲 ●K-NET行徳


●K-NET市川北 ●K-NET姉崎


●KiK-net千葉 ●KiK-net富津


【速度応答(減衰1%)のコンターマップ】

 スロッシングの発生が確認された千葉県にある石油タンクのスロッシングの1次固有周期が10〜11秒程度と6.5秒程度であったことから、周期11秒と6.5秒における速度応答の等値線図を描きました。周期11秒での速度応答が最も大きくなるのはKiK-net千葉で、EW成分では0.50m/sという値に達します。
 K-NET姉崎での速度応答はそれに準じて大きく、EW成分では0.39m/sという値です。



●周期11秒・NS成分 ●周期11秒・EW成分


●周期6.5秒・NS成分 ●周期6.5秒・EW成分


2.大阪湾岸における長周期地震動



▲:K-NET観測点,■:KiK-net観測点,▼:港湾地域強震観測の観測点


【大阪湾岸における地動速度波形(0.1〜10Hz)】


●NS成分 ●EW成分


【大阪湾岸における速度応答スペクトル(減衰1%)】


 港湾地域強震観測の六甲-G観測点の地動速度波形には長時間継続する長周期の後続波が見られますが、港湾地域強震観測の神戸-G、神戸摩耶-G、西宮-Gでは記録時間が短く、この長周期の後続波を十分記録できていない恐れがあります。このため、速度応答スペクトルは掲載しませんでした。


●K-NET神戸 ●港湾地域強震観測・六甲-G


●K-NET西宮 ●KiK-net此花


●港湾地域強震観測・大阪事-G ●港湾地域強震観測・大阪南-G


●K-NET堺 ●K-NET岸和田


●K-NET田尻




【速度応答(減衰1%)のコンターマップ】

 石油タンクが多数立地している場所に近いK-NET堺の速度応答スペクトルが周期6秒付近で卓越していることから、その周期での速度応答の等値線図を描きました。この周期における速度応答は、港湾地域強震観測・六甲-G(地図では海上にあるように描かれているが実際は六甲アイランドにある)とKiK-net此花(地図では海上にあるように描かれているが実際は舞洲にある)付近で最も大きく、六甲-Gでの値はNS成分で1.68m/s、EW成分で1.09m/sに達しています。KiK-net此花での値はNS成分で0.64m/s、EW成分で1.39m/sです。K-NET堺での速度応答もこれに準じて大きく、NS成分で0.30m/s、EW成分で0.95m/sという値です。


●周期6秒・NS成分 ●周期6秒・EW成分


3.伊勢湾岸における長周期地震動【速度応答(減衰1%)】


▲:K-NET観測点,■:KiK-net観測点,▼:港湾地域強震観測の観測点


【伊勢湾岸における地動速度波形(0.1〜10Hz)】


●NS成分 ●EW成分


【伊勢湾岸における速度応答スペクトル(減衰1%)】


 K-NETの四日市観測点と津島観測点の地動速度波形には長時間継続する長周期の後続波が見られますが、港湾地域強震観測の四日市-G、名古屋空見-Gでは記録時間が短く、この長周期の後続波を十分記録できていない恐れがあります。このため、速度応答スペクトルは掲載しませんでした。



●K-NET四日市 ●K-NET津島


●K-NET知多 ●港湾地域強震観測・衣浦-U


【速度応答(減衰1%)のコンターマップ】

 石油タンクが多数立地している場所に近いK-NET四日市の速度応答スペクトルが周期5秒強で卓越していることから、周期5秒での速度応答の等値線図を描きました。この周期での速度応答は、K-NET四日市とK-NET津島付近で大きく、最大値はK-NET四日市におけるNS成分の0.40m/sという値です。



●周期5秒・NS成分 ●周期5秒・EW成分


謝辞

独立行政法人防災科学技術研究所の強震観測網K-NETとKiK-netならびに港湾地域強震観測のデータを使わせて頂きました。


以上